英雄テセウスの息子デモフォンは難破して、トラキアの海岸に流れ着き、その時トラキアの王女フェリスに助けられます。
やがて二人は愛し合い、いつしか結婚を誓います。しかし船が修理されると、デモフォンはトラキアに戻る約束で故郷のトロイアに帰ります。帰ったデモフォンは、そこで美しい娘に出会い、フェリスとの約束を忘れてしまいます。待っても帰らぬフェリスは悲しみにくれ、重い病にかかり亡くなります。その様子を見ていた、貞操の女神でもあるアルテミスは哀れに思い、その亡骸をアーモンドの木に変えました。
時がたち、フェリスを思い出したデモフォンは、トラキアを再び訪れますが、自分を待ち続けて亡くなりアーモンドの木になったことを知ります。後悔の涙を流し、その木を抱きしめると、美しいピンクの花々が満開に咲き出します。すると、デモフォン自身もアーモンドの木の芽や葉に変身し、二人はついに一体となります。
ギリシア神話ではアーモンドは、願いがかなう事、希望の象徴とされています。