ナルキッソスは、その姿を見た者は誰でも心を動かさずにはいられませんでした。それほど美しい若者でした。多くの若者や娘が言い寄りましたが、誰も彼の心を動かすことはできません。でも、ナルキッソスはその外見の美しさとは裏腹に非常に思い上がりの強い面をもっていました。彼に恋したニンフや娘たちはことごとく残酷な結果に終わります。
あるとき、彼に片想いをし、失恋した娘が「ナルキッソス様がいつか恋することがあっても、その気持ちが決して報われませんように」と祈りました。すると復讐の女神メネシスはその願いを聞き入れ「人を愛さない者は、自分自身を愛するがよい!」と聞き入れ、呪いは本当になってしまいました。
ある時、狩りをしていたナルキッソスはのどが乾き、身体が火照っていたので、水が飲みたいと泉を見つけます。水を飲もうと身体をかがめると、水面に自分の姿が映りました。彼はそれをこの泉に住んでいるニンフと勘違いをしてしまいます。その完璧な美しさにナルキッソスは魅せられてしまいます。
完全に恋をしてしまったナルキッソスは抱き寄せようと両手を泉の中に入れると、その瞬間どこかにいなくなってしまいます。こうして自分の姿に恋したナルキッソスは、身も心も焼きつくし、だんだん衰え、ついには息絶えてしまいます。彼の亡くなった場所には白い花が咲きました。それからはその花のことをナルキッソス(スイセン)と呼ぶようになりました。
花言葉は「自己愛」「自己主義」です。