アネモネ(アドニス)


アプロディーテーの息子エロースは子供のころから気まぐれな性格で、美しい青年に成長すると、その気まぐれも激しくなります。アプロディーテーとエロースが遊んでいる時、誤ってエロースの矢で自分の胸を傷つけてしまいます。まだ傷が治らないうちに、シリアの王子アドニスという美しい青年の姿を見てしまい、その為にアプロディーテーはアドニスを愛してしまいます。
アプロディーテーはアドニスが狩りに出かける時、無理はしないようにと心配のあまり声を何度もかけます。ある時、猪狩りに出たアドニスは暴れ者の猪に出会い、槍を投げてしとめようとしましたが、運悪く急所をはずします。そして、暴れ狂った猪が突進してきてアドニスの脇腹に牙をつきたててしまいます。天空で恋人の声を聞いたアプロディーテーは、急いで駆けつけますが、息を引き取ってしまいます。あまりの悲しみにアドニスの流した血を花に変えて、自分たちの愛を忘れないようにと神酒ネクタルをふりかけました。すると、ザクロの花に似た花が生まれました。しかし、それは優しく風が吹くと花が咲き、二度目の風で花びらがすぐに散ってしまいます。
アネモス(風)に由来する名前で、風の花を意味します。



 
 

サイズ:200×100mm