Warmth in a stone・・・石のぬくもり

ピュグマリオーンとガラティア

 

キュプロスの島を納める若き王ピュグマリオーン
未だ妻を娶らずして ひたすら石を刻み続け
目を見張るばかりのあでやかな女性の像を彫り上げれば
これぞ求め続けた妻の像

いつしか物言わぬ像に恋をして
朝な夕なに せつない恋のささやき
固いくちびるに口づけしては溜息をつき
寝床にそっと体を横たえては 冷たい肌を抱くむなしさ
アプロディーテーよ
願わくばこの像と同じ顔 同じ姿の娘をば妻に与えてくれたなら
石は ぬくもり
くちびるは まろやかに甘く
流れる髪は におい立ち
静かに開かれたひとみは 潤みゆく
おぉ 奇跡か
恥ずかしげに目を伏せるしぐさの愛らしさ
一途な愛を貫いた若き王への
この上ない愛の女神の贈り物
 
千葉政助ギリシャ神話作品集「ヴィーナス」より
 

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