ケーユクス&アルキュオネー
濡れた幻 |
おだやかなる海面を飛びかうは夫婦翡翠(かわせみ) 暁の明星の子ケーユクス その妻アルキュオネー 鳥になりても変わらぬ情愛 身内の不幸に神託を伺いに旅立つケーユクス 夫の身を案じ とりすがりて引き止めるも 愛しき妻を抱き寄せ 固き決意を語る 涙ながらの別れの船出 にわかに海は荒れ 烈しき風に大波はうねる 船は逆巻く波にのまれ ケーユクス 妻の名を呼び 泡立つ海中に消え 留守をあずかり 朝な夕な夫の身を案じ 夫婦の守り神ヘーラー女神に無事を祈れば 妻の夢枕に立つは 夫に身を変えし夢の神 海水のしたたる髪 青ざめし顔 紫にふるえる唇は無念を語る 夫の死を知り浜に急げば 波にただよう黒き人影 もすそ濡らし 駆け寄り 波に踊り込めば 一瞬に一羽の翡翠となれば黒き影も鳥となり 一組の喜びの翼は波頭をかすめ去り かぎりなき夫婦の愛への ヘーラーのせめてもの計りごと |
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