ペーネロペー

 

妻の座
ペーネロペー

オデュッセウス様、あなたがトロイ遠征に加わり、このイタケの島を出てからかれこれ20年の歳月が流れました。老いた義父、若い息子のテレマコス、女の私は勝手気ままに暴れている100人の無法者相手になすすべを知らず、あなたが汗水流して作った蓄えも底をつき、この館も今は荒れてしまいました。近隣の男どもがオデュッセウスは亡き者と決めつけ、この地の主になろうという企みから私に日ごと夜ごと求婚を迫ります。
苦肉の策としてお義父上の棺衣を織り上げたら、そのときには求婚に応じましょうと、布を織ってはほどき、ほどいては織って返事を延ばしておりましたが、これ以上だまし通せそうもございません。オデュッセウス殿、生きておいででしたら、今すぐお帰りになってください。あるときペーネロペーは、諦めずに迫ってくる求婚者たちに、普通の人には引けない強い弓で、夫が以前、12個の斧を組み合わせて作った、それはそれは小さな穴を射通したことを話し、それを要求した。しかし、だれにもできなかった。その中へ最後に現れた乞食姿の男が、あの強い弓を取り上げ、射通して見せた。この男こそオデュッセウスであった。彼は数々の苦難の航海を終え、乞食姿で帰国していたのである。オデュッセウスは求婚者たちをことごとく倒し、ペーネロペーに自分の身を明かし、再会を喜びあった。

 

 

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